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台風による災害例・情報の種類

台風による災害の例

台風災害の例

台風によって引き起こされる災害には,風害,水害,高潮害,波浪害などがあります。もちろん,これらが単独で発生することはなく,複合して発生し大きな被害となります。最近の台風による災害の例をいくつか紹介します。

1 風害・高潮害・波浪害-平成3年台風第19号

平成3年9月27日午後に長崎県に上陸した台風は北九州市付近から日本海に進み北海道に再上陸し,全国的に20m/s以上の強風が吹きました。この台風による被害は,九州,中国,東北地方を中心に死者62人,負傷者1,499人,住宅の全壊・流失506棟,半壊・一部破損169,941棟,床上・床下浸水22,965棟,山・がけ崩れ157か所に達しました。

死者の大部分は強風によるもので,台風が接近中に屋根に上っていて飛ばされて転落したり,飛んできた瓦が当たったりした屋外での作業中のものが3分の1以上を占めており,もっと早く台風に対する備えを完了し,強風時には屋外へ出ないでいれば被害に遭わなかったのにと悔やまれます。

2 水害-平成2年台風第19号

平成2年9月17日に沖縄付近を,中心気圧890hPa,中心付近の最大風速60m/sと猛烈な勢力で通過した台風は,19日に中心気圧945hPa,中心付近の最大風速45m/sと大型で強い勢力を保ったまま和歌山県に上陸しました。

この台風は日本付近に停滞していた前線の活動を活発化させて全国的に大雨を降らせ,西日本の太平洋側では多い所で総降水量が600~1,000mmに達しました。このため,家屋の浸水,耕地の冠水,山・がけ崩れが多く発生し,死者41人,負傷者114人,住宅の全壊・流失160棟,半壊・一部破損3,143棟,床上・床下浸水41,017棟,橋の流失46か所,堤防決壊51か所,道路損壊・がけ崩れ1,313か所など被害は1都2府1道40県と全国におよびました。

3 日本に大きな被害を与えた台風の一覧

下の表から,被害からみると9月に来襲した台風が大きな被害をもたらしていることがわかります。これは,8月が台風の上陸数,接近数が最も多い月ですが,9月は8月に次いで上陸数,接近数が多い上に,この頃には日本列島付近に秋雨前線があり,台風の東側を廻って前線に流れ込む湿った空気が前線の活動を活発化させて大雨を降らせるためです。

台風名又は台風番号
死者・行方不明者(人)
負傷(人)
住家(棟)
建物浸水(棟)
耕地(ha)
船舶(隻)
上陸・最接近年月日
室戸台風
3,036
14,994
92,740
401,157
不詳
27,594
昭和9年(1934)9月21日
枕崎台風
3,756
2,452
89,839
273,888
128,403
不詳
昭和20年(1945)9月17日
伊勢湾台風
5,098
38,921
833,965
363,611
210,859
7,576
昭和34年(1959)9月26日
平成2年第19号
40
131
16,541
18,183
41,954
413
平成2年(1990)9月19日
平成3年第19号
62
1,499
170,447
22,965
362
930
平成3年(1991)9月27日
平成5年第19号
48
266
1,892
10,447
7,905
66
平成5年(1993)9月3日

台風情報の種類と表現方法

台風情報の種類と表現方法

まず,台風情報の見本を見てください。

これは台風情報をテレビで放送したり新聞に掲載するための一般向け図情報の見本です。

凡例(下に拡大)で示す暴風域は,平均風速でおおむね25m/s以上の暴風が吹いていると考えられる範囲です。この円内は,いつ暴風が吹いてもおかしくない範囲です。実線の円で表示します。



予報円は,台風の中心が到達すると予想される範囲を破線の円で示しています。この円内に台風の中心が入る確率は70%です。予報円の中心は12,24時間予報では0.1度単位で,48,72時間予報では0.5度単位で発表しています(ただし,一般向けの図情報に表示する予報円は12~48時間予報までです)。

暴風警戒域は台風の中心が予報円内に進んだ場合に暴風域に入るおそれのある範囲です。そのため,予報円に予想される暴風域の半径を加えた半径の円になります。実線の円で表示します。

なお,台風の動きが遅い場合は,12時間先の予報を省略することがあります。また,暴風域や暴風警戒域のない台風の場合には予報円のみの表示になります。


この図を文章にしてラジオやテレビのアナウンサーが言葉で伝えたり,新聞記事として掲載するために気象庁予報部が発表(伝達)したのが次のような「台風第12号に関する情報」です。図による情報よりも詳細な内容です。

平成8年 台風第12号に関する情報 第93号(位置)

平成8年8月13日15時55分 気象庁予報部発表

(見出し)

大型で強い台風第12号は,奄美大島の西北西を北北東へ進んでいます。沖縄本島北部も暴風域から抜けました。

(本文)

大型で強い台風第12号は,13日15時には奄美大島の西北西約140キロの北緯28度40分,東経128度05分にあって,1時間におよそ20キロの速さで北北東へ進んでいます。
中心の気圧は960ヘクトパスカル中心付近の最大風速は40メートルで中心から半径190キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっています。
また,中心の南東側800キロ以内と北西側560キロ以内では風速15メートル以上の強い風が吹いています。
この台風の13日16時の推定位置は,奄美大島の西北西約140キロです。
台風の中心は,この後,14日3時には屋久島の西約210キロの北緯30度30分,東経128度30分を中心とする半径110キロの円内に達する見込みです。
この円の中心から半径300キロ以内では暴風域に入るおそれがあります。
また,台風の中心は,14日15時には唐津市付近の北緯33度30分,東経130度00分を中心とする半径200キロの円内に達する見込みです。
この円の中心から半径390キロ以内では暴風域に入るおそれがあります。
さらに,台風の中心は,15日15時には佐渡島の北西の北緯39度00分,東経137度30分を中心とする半径350キロの円内に達する見込みです。
この円の中心から半径480キロ以内では暴風域に入るおそれがあります。今後の台風情報に注意してください。

次は,気象庁が発表した情報に各地の気象台が担当する地域の特性や影響などを加味して発表した台風情報の例です。先の情報を引用しながら地方で注意・警戒すべき事項を加えて鹿児島地方気象台で発表しました。

九州南部地方の台風第12号に関する情報 第38号

平成8年8月13日16時25分  鹿児島地方気象台発表

(見出し)

大型で強い台風第12号は,15時現在,奄美大島の西北西の海上にあり,向きをやや東よりに変え,九州北部に接近または上陸のおそれが出てきました。

(本文)

台風第12号は,今後も,東シナ海を北上し,九州北部に接近または上陸のおそれがあります。奄美地方北部でも既に25メートル以上の暴風域に入っています。また,九州南部は,台風が最も東よりの進路をとった場合,今夜半から夜半過ぎにかけて暴風域に入る見込みです。

既に,暴風域に入っている沖永良部では,06時00分に最大瞬間風速,南南東の風46.2メートルを記録しています。また,08時30分に南の風31.3メートルの最大風速も記録しています。名瀬でも,15時15分に最大瞬間風速,南南東の風36.1メートルを記録しました。台風の動きが遅く長い時間にわたり,奄美地方では非常に強い風が続いています。

厳重に警戒してください。

また,奄美地方の沿岸の海域では,大しけとなっています。九州南部でも,次第に大しけとなる見込みです。船や釣,海水浴など海のレジャーには厳重に警戒して下さい。

なお,台風の外側の発達した雨雲が宮崎県にかかっており,1時間30ミリ前後の強い雨が降っています。九州南部は,台風が近づく今夜からは風雨が強まり,南東斜面を中心に1時間に30ミリ以上の強い雨の降る恐れがあり,これから明日の夕方までの雨量は,多い所で300ミリから400ミリに達する見込みです。雨の降り方にも警戒して下さい。

さらに,明日の朝は,大潮に加え台風による強風により,南に面した湾では,高潮に注意して下さい。

地元気象台や測候所の発表する注意報・警報・情報に留意し,厳重に警戒して下さい。

次の情報は,13日19時頃発表の予定です。

このように,台風情報は各地の気象台から随時発表しますので,最新の台風情報を使うようにしてください。

気象庁ホームページ、福岡県防災安全課のホームページより引用しています